誰かが捨てるように呟いた。



幼稚園の時から、お空を眺めるのが好きで、
雲が流れていくのをじっとぼーっとみては、
「雲みたいにふわふわ、ぷかぷか消えてしまいたいなあ」
なんてことをつぶやいては、お昼寝していたっけ。

もう。何も感じたくない
何も考えたくない。
何もしたくない。
ふわふわ自分のままでいられたら。

ただそれだけをずっと思ってた。

何をするにも周りをみて見よう見まねで
少しずつだけど、できるようになってった。

寝るのも食べるのも、歩くことも。
例えば何が見えて何が見えないのか。
何を感じるのが普通なのか。

まあ、最初は大変だったけど、
小さい頃から、周りに気を遣って振る舞うことは
結構無駄に得意だったから。

わかってもらえなくて当たり前。
普通にできて当たり前。
さあ、今のことができたなら、
ほらほら次、次、次、次、次、次、。

ちゃんとできなきゃ。
ちゃんと頑張ってなきゃ。

じゃないとるいが消えてしまう。みんなの前から。
いらなくなってしまう。
誰からも愛されない。



もう疲れた。
休みたい。もうやめたい。やめよ。
頑張りたくないや。

雲みたいにふわふわ消えていきたい。

上を向いて空をみた。

急に目が溢れてぼやけてきて、きらきら光ってみえなくなった。

それはとてつもなく綺麗で、おそろしいほど澄んでいた。
そして、改めて自分の不健康さにしみじみ実感した。

消えたいなあ、すーっと。




だけど、やっぱり
たった一度でもいいから、
誰かに壊れるくらい、痛いくらい
強く抱きしめてもらいたくて。

頑張ったねってほめてもらいたくて。

今までお疲れ様って言ってもらいたくて。

もういいんだよ、
頑張らなくていい

頑張らなくても、
できなくても、
わからなくても、
そのままのるいが好きだよって。

好きな人に言ってもらいたいんだ。
心から愛してる人に。
心の底から愛されたい。

そして、ずっといっしょにいたい。


それまで、やっぱり、るいは
がんばるんだよ。

壊れても、無茶しても
がむしゃらに無我夢中に、
もう無理だってなっても。
きっとがんばるんだよ。

消えたくないと思うんだよ。