部屋の隅のホコリが怒ってぼくを殺す。

『そこで何をしているんだい』

 

「なにもしてはいないさ ただ天井を眺めているのさ」

 

『それはどうしてだい 天井が好きなのかい』

 

「天井が友達なのさ 僕の話を聞いてくれる唯一の。」

 

『天井は友達だと思ってるのかなあ』

 

「そんなのわからないさ 天井は喋らないからね」

 

『喋ったとしても本当かどうかわからないとは考えないのかい』

 

「人間とは違うんだ 心がないから」

 

『でも大切にしているだろう その彼を』

 

「そうかな、わからない 僕はただ誰かに話を聞いてもらいたいだけさ」

 

『人間は君に優しくないのかい?』

 

「勿論優しい人はいるさ それと同じくらいこわい人たちもたくさんいるんだよ」

 

『では、その“優しい人間”は何故どうして優しいんだろう』

 

「それはきっと心があって……、思いやりっていうものがあるんだろ」

 

『だけれども、こわい人たちも心は心はあるだろう?人間以外には心がないと言う君なのだから こわい人たちも人間だ、きっと心はあるだろう』

 

「そんなことはわからないよ 心というものはとてもやっかいでめんどくさくて危うくていつだって余裕なんて無いのさ」

 

『そうかな』

 

「そうだよ」

 

『ところでだけど、私は君は優しい人間だってずっと前から知ってるよ』

 

「そうか、それは嬉しいな ありがとう」

 

 

 

 

 

 

『……でもさ 君には心がないね』