アルモノ

この止まることのない音。

君にはきっと聞こえるだろう。

ただずっとそこにあって、

そっと僕らの名前を呼んでいる。

だけど僕らはこの騒がしくてうるさい、日常に住んでいるからじっと澄まさないと逃げていってしまうんだ。

 

その音たちはとても繊細で怖がりで引っ込み思案。

臆病で誰よりも優しい音をしてる。

 

時に人間は音たちを閉じ込めようとする

暗くて冷たいところ、光が無いところ

音たちは皆死んでいってしまう

 

自分を光らせて 星屑に変えて。

 

人間は欲張りで利己的で時に優しさすら真っ黒い色をして笑っている。

そんな人間を音たちはとても恐れているけれど、雨上がりの朝露のようにまぶしく、雲ひとつない空や、綿菓子で作った純白のドレスのようにやわらかい心があることも知っている

 

それに音たちは人間にきかせるために在るのだ。

それぞれの音を精一杯の生命を込めて、そっと静かに。

それは天使の囁き、五月の緑しげる葉っぱの風の調べ、あの子が描く下手な星の絵の声。

物語の始まり、すべての宇宙の歓喜