Skypeちゃんねるwといのちの電話

すかちゃんといわれているSkypeちゃんねるwはSkypeのIDを公開し、色々な目的やコメントとともに通話相手を募集できる掲示板のことで、私は中学1年生から21歳のこないだまで、約8年ほどくらい使用していた。

 

使用する理由として、私は大抵夜寝る前に通話したくなることが多く、それも遅い時間であり、そんな時間に話せる人がいない、声を掛けるのが申し訳ないと思うので、募集をかけて来てくれた人と話す方がよっぽどお互いにとって良いというのが大きかった。

仲良くなると同じ人と何度も何時間も話すことも珍しくなかった。

その中でLINEを交換したり、実際に会ったりすることもあったが、大抵は一度きり会ってそれ以降連絡も取らなくなってしまう。

好意を向けられ、それに答えられないことが息苦しく、好意の理由が理解できず、また好意があるというのに行動がそれに伴っていない人が多くて、自分の価値観や考えに対しての揺らぎが起こり、しんどくなってしまうからだった。

 

こんな声でこんな顔でこんなふうに接すれば好きになってくれる人はいるんだな、という謎の理解が深まっていく中で、それを利用して通話をしてもらっていた。

マイナスな感情で埋め尽くされる夜に、いのちの電話ならぬ、すかちゃん募集をすることで、夜を越えるためだった。

そうやって自分の話し方や魅せ方を工夫して、相手に話を聞いてもらった。

マイナスな感情をかわいい語彙に変換し、言葉の数で量産することでなんとか感情を抑えて、弾丸のように相手に命中させていった。

言葉をバンバン撃つことで、自分を保っていた。そして、何度も何度も、死にたい夜を憂鬱な日を超えてきたんだった。

 

そんな私は、この前、すかちゃんでIDを悪用されて勝手に募集をされた。

しかも、ニックネームのところが本名になっていてそれが腹立たしいよりもちょっと悲しかった。だけど、私はどうしよう!となるまでもなく、勝手にやってろと思った。

全てに冷めてしまった、興醒めだ。

もう、すかちゃんやめよう、そう思った。

それからは早かった。アカウントを捨て、掲示板には悪用されていると書き込み、アプリを消した。

 

私にとっては、必要な存在の世界だった。

あの頃はあまりにも希望や救いが少なかった。

デメリットもあったが、必要悪のような気がする。死にたい夜を越えるために私なりに努力を繰り返してきたのを、私自身は否定しない。

 

あの頃、あの時、もう声も名前も何もかも覚えてはいないけど、他人の私に優しい言葉をかけてくれた人たちにとても感謝している。

死にたい夜を越えるのを手伝ってくれてありがとう。

今だって変わらず、そういう夜はあるけれどまだ出戻りせずにいられている。

 

あの頃の私にとって、Skypeちゃんねるwはいのちの電話だったよ。

もうかけることはきっと無くなるだろうけど、何か他の命をつなぐものを頑張って見つけるね。